人生はギャンブル

毎日毎日、刃物での事件のニュースばかり。
犯人は口をそろえて「○○が悪い、○○のせいだ」と責任転嫁。
そんなニュース記事を見ていると、果たして本人は努力したのか、
自分自身に責任を持って歩いてきたのか、それらが非常に疑問に思えてならない。
そんなこと考えていたら、なんか急に思い出した。
いつだかかなり前に有休を取って、午前中から出かけたことがある。
ターミナル駅の前はパチンコ屋だらけ。
その開店前のパチンコ屋の前で、タバコを吸い、痰と汚い言葉を吐きながら
ゴミのように地べたに座っている、見るからにガラの悪い金髪の青年たちがいた。
もちろん吸殻はそのまま捨てているのだろう。周りには投げ捨てられた吸殻が目立つ。
そして、通行人や車の邪魔になっているのを気づいているのかいないのか、
そこが自分の家であるかのように平然と居座り、
声でも掛けようものなら噛み付いてきそうな空気をかもし出していた。
なんだか、侮蔑、軽蔑というより、哀れみ、淋しさを感じた。
“青年”と書いたように恐らく20そこそこ、もしかしたら18、19とかなのかもしれない。
ますます厳しくなっていくであろう”格差社会”の中で、
5年後10年後20年後、彼らはどんなポジションにいるのだろう？
果たして、暖かい家庭の中で笑顔で過ごしているのだろうか？
それとも今日この日とさして変わらない、時だけが過ぎ年齢を重ねただけの、
なにも進歩のない生活を繰り返し、それに甘んじているのだろうか？
…
私だって偉そうなこと言えた身分じゃない。
日々暮らすので精一杯だし、聖人とは程遠い人格だしね。大体、私も頭茶色いし…。
それに実は彼らだって、平日が休みの仕事についていて、
責任も給与も私よりはるかに多い、充実した日を送っているのかもしれない。
けどなんだか、ひどく気の毒に思えてならなかった。
不憫でかわいそうで、見るに忍びない感じ。
自分を棚に上げ、エリートぶって「社会のクズめ」といった目で見るのは簡単だが、
そうじゃなく、見ているこちらがなにかすごく惨めな気持ちになった。
パチンコなんかの、社会に不必要で低俗なギャンブルに熱を入れるのではなく、
もっと大きく大切な、後戻りが難しい”自分の人生の道選び”という賭けに
その情熱を傾けたほうがいいのではないかとね。
「お前はどうなんだ？　お前に何がわかるんだ？　知ったような口を利くな。」
と言われれば、なにも返せる言葉は無い。
それに会社勤めだけが”成功・幸せ”のものさしでもない。
けど、”青年”の彼らが選んだ道が”アタリ”なのか”ハズレ”なのか、
そして後戻りできるのかと考えてしまい、なんだかブルーになったのを覚えている。
もし万一”ハズレ”であり、さらには”後戻り”もできなかった場合、
「親が悪い、社会が悪い」と、ナイフを持ち出すようなことが無ければいいけどね。