イジメ

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　俺の人生は光り輝いていた。毎日が楽しく、全てが思い通りに過ぎていた。
　そう、アイツが来るまでは俺がいつも1番だった。
　どんな時でも、どんなことでも、とにかく俺中心に世界が回っていた。
　俺が喜べば、みんなはそれ以上に喜び拍手をし、俺を褒め称えた。
　俺が悲しめば、みんなはすぐに駆けつけ俺を慰め、いつまでも癒してくれた。
　それが、アイツが来てからというもの、
　俺と取って代わってヤツばかりがチヤホヤされ、俺はいつも後回し。
　アイツさえ来なければ！　アイツさえ現れなければ！
…
珠希がそう思ってるかは知らないけど。
よく言うよね。
第2子が生まれると、そっちばかりを可愛がりすぎてしまい、
第1子が拗ねやすくなったり、甘えるようになったり、精神的に不安定になったり。。。
だから我が家ではなるべく珠希を可愛がってやり、
“甘やかす”まで行かないけど、いろいろかまってやったりと意識してる。
それでもやっぱり、ちょっと麗香を気に入らなく思っていそうなんだよね。
かみさんが麗香に離乳食をあげていると、なんだか知らんが珠希が寄ってきて
かみさんに抱っこをせがんだり、遊ぼうとか言ったりして邪魔をする。
麗香が1人で遊んでいると、脇を通るときにわざとぶつかって行く。
酷い時なんて（すごく軽くだけど）膝蹴りかましている。
泣いていると、「泣いちゃダメしょー！」「うるさいしょー！」とか言いながら
風船でポコポコ頭を叩いたり、頭をギューと押したり…。
で、見られていないと思ってやっているみたいだけど、
私やかみさんがジーッと見ているのに気づくと、気まずそうにしたり。
どれも怪我をしたり痛いようなレベルでは無いから、まあいいんだけどね。
怪我したり痛そうな時は（今までほとんど無いけど）、
うまいこと伝えてやめさせ、しないよう注意するようにしているし。
ただもう、なんかやり過ぎでさ、かみさんと一緒に腹を抱えて笑ってしまうのよ。


他にも、シャボン玉を吐き出す銃のようなオモチャで
「バンバン！　おらおら！」と撃つ真似をしてみたり（もちろん弾とかは出ない）、
麗香がオモチャを手にすると「これは珠希の！」と奪ってみたり。。。
…
最近ずっと、珠希はフニフニと甘えていたんだよね。
あまり元気がない感じで不満を抱えているというか、やけに泣き虫というか。。。
突発性発疹* で、具合が悪かったのもあると思う。
*前にやったと思ったけど、それは違ったみたい
もちろん、決して愛情無く接していたわけではないのだけど、
珠希は珠希で何かしら思うところ、おもしろくないところがあったんだと思うんだ。
甘えた泣き声ばかりだから、ついつい「泣かないでちゃんと話しなさい」とか
少し厳し目の口調になってしまうこともあって、それも悪循環だったと思うし。
だけど、今回みたいな軽目の”イジメ”を許容したら、途端に元気になった感じ。
それだけが要因の100％では無いだろうけど、でも発散の1つにはなっていそうに思える。
珠希の気持ちもわかるんだよね。
冒頭に書いたように、パパン&ママン、その他ジジババ含め
みんなが”自分1人だけ”を見てくれ、構ってくれ、優しくしてくれていたのにさ、
それが、後から降って湧いたチビに半分取られちゃったんだもんね。
麗香が寝ているときは優しく頭を撫でてあげたり、
起きている時でも優しくしてあげたりで「妹」という概念を理解しつつあるかもだけど、
まだまだ3歳にもなっていない子には、そのあたり難しいんだろうな。
この”イジメ”が長く続き、麗香に取っても「お兄ちゃん嫌い」みたいな感情が
芽生えてしまうと良くないけど、幸い今はまだ麗香もよくわかってない時期。
ちょっとの期間だけ、こうやって珠希を発散させながらも、
同時に”妹”という存在と、優しくして守ってあげるという意識を育ててあげて
ずっと仲の良い兄妹として育ってくれたら…　なんて思っている。