現実

昼過ぎのこと。
「プープープー…」エントランスに設けてるインターホンが鳴った。

おいら「はい、いらっしゃいませ。」
その人「以前ご注文いただいたことのある○○(社名)と申しますが、
    新しいメニューができましたので、お持ちいたしました。」
おいら「はい、少々お待ちいただけますか? 伺います。」

ドアを開けると、スーツを着たとても年配の男性。
わからんけど、6~70歳くらいなんじゃないかって感じ。

取引先を招いてのセミナーの時かなんかに、ここのお弁当屋さんに頼んだのかな?
社名は出さないけど、1つ1,000円はするような”チョイ高級弁当”がメインの店。
「以前もご利用いただいたのですが、新しいメニューができまして…」
ものすごく腰が低く、まさに”平身低頭”という言葉がピッタリな感じ。
今日は暑いからかちょっと汗臭くて、あちこち歩いて回っているのが伺われる。


おいら、以前外回りの営業をやってたんだけど、夏場は辛かった。マジで。

クソ暑いのにスーツ着て、手には資料の入ったカバンを持って。。。
雨の日で暑かったりすると最悪。両手が塞がり、汗も拭けなきゃ鼻も掻けない。

1日の終わりには、自分が自分で汗臭いのが気になって仕方なかったし。
でも、おかげで都内のドトールとルノアールの場所にすげえ詳しくなったな(笑

でね、そんな体力仕事をこんな年配の方がやっていると思うと、なんか切なくなった。

飛び込み営業とかではないから、ムゲに断られたりみたいな辛さはなくても、
この都心の雑踏の中、アスファルトの照り返しがきつい中を歩く辛さ。

しかも、おいらが「ありがとうございます。頂戴いたしますね。」って受け取る時も、
受け取った後も、腰が90度になるくらいまで深々と頭を下げて、
「どうぞよろしくお願いします。お願いします。」って言うの。

自分の親よりも上の年齢の人にこんな対応されてしまって、
思わずおいらも深々と頭を下げて、もう1度「ありがとうございます。」と繰り返した。

「哀れむ」というと大変失礼な言い方だけど、なんていうかな、そんな気持ち。
どんな”物売り”でも営業は必要だけどさ、けど、こんな年配の”おじいちゃん”が、
こんな夏の暑い中に、メニューをたくさん持って歩かなくてもさ。。。

まあ、もしかしたらこういう「客の元に実際に出向く」のが好きな方で、
自分でこの業務をやろうと思ったのかもしれないけどさ…。

どうなんだろう? 日本って国は豊かなのかね?

もちろん、年配者は働く必要が無いという意味ではない。
生活保護が必要なのにもらえずに命を落としたり、病気で動けず孤独死したり、
必要なリハビリ期間を削られたり、片や金のために親の命を奪ったり…。そんな事件ばかり。

そして目の前には、暑いのに重いカバンを抱え、歩き回らなければならない老人。

この国が豊かなのは表面だけで「美しい国」なんてのは程遠く、
現実はドス黒い問題が山積みなんだと、目の前に叩きつけられたような気がした。

コメント

  1. nono より:

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    >目の前に叩きつけられたような気がした。
    ・・・うん。。。こういう気持ちになる事あります。

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